2015.03.20 平成27年環境・建設委員会

◯米倉委員 日本共産党都議団を代表して、環境・建設委員会に付託された平成二十七年度東京都予算関係議案について意見を述べます。

 昨年四月からの消費税八%への税率引き上げで、消費税不況と呼ばれる厳しい経済情勢が続いています。加えて、年金、医療、介護など社会保障の全面的な切り下げや雇用不安が暮らしを脅かしています。それだけに、都政が都民生活の防波堤としての役割を発揮することが求められています。

 都民は、防災対策についても都政が十分な取り組みをすることを望んでいます。首都直下地震の確率が三十年間のうちに七〇%と予測され、加えて異常気象のもとで豪雨や大雪の災害が多発する中、環境保全と災害予防に対する要望はこれまで以上に強まっています。

 ところが、平成二十七年度の東京都予算案は、大型幹線道路建設を初め、都市基盤整備などに偏り、災害対策は、土砂災害対策や東部低地帯の河川堤防耐震化などに一定の強化が図られていますが、暮らしや福祉の充実は極めて不十分で、都民の願いとかけ離れたものとなっています。

 建設局の予算では、住民合意が形成されていない特定整備路線の事業費に約四百六十億円が投入され、本来、東京都が負担する必要がない外かく環状道路と外環ノ2の建設にも巨額の予算が計上されています。住民の声に背を向けた道路建設先にありきの都政といわざるを得ません。道路などの都市インフラ整備は、新規建設を最大限に抑制し、長寿命化、耐震化などの維持管理を重視するものに組み替えていくべきことを改めて強調しておきます。

 環境局の予算は、これまで東京都が示してきた再生可能エネルギーの比率を、二〇二〇年までにエネルギー消費量の二〇%に引き上げる目標を先延ばしにし、二〇二四年までに電力消費量の二〇%程度と後退させました。現状ではその目標にもほど遠い状態です。都はクリーンなエネルギーとして水素の普及を強調していますが、再生可能エネルギーの大規模な開発、普及、省エネの抜本的対策に重点を置いて取り組むとともに、福島第一原発の苛酷事故から四年たった今日も、都内に放射能汚染の場所があることから、除染や測定を行うなど、都民要望に応えるべきです。

 また、CO2排出総量抑制や自動車排ガス規制、大気汚染防止対策の総合対策、及び緑地破壊の開発を防止し、大規模な緑地確保の予算を拡充することなどを提案します。

 初めに、環境局です。

 一、再生可能エネルギーの利用促進計画を策定し、二〇二四年までに電力消費に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%程度にするとの都の目標を早期に達成させるよう抜本的対策を講じること。燃料電池の普及拡大を進めること。また、バイオマスなど未利用エネルギーの開発を含め、大学や中小企業などとの共同開発、研究を推進すること。

 一、太陽光発電の普及拡大のため、ソーラーパネル設置補助を復活し、住宅の省エネリフォーム助成を充実すること。

 一、福島原発事故由来の放射能汚染による低線量被曝からの都民の健康を守るため、都立施設の測定と対策をとること。

 一、柏崎刈羽原発の再稼働をしないように、東京電力へ求めること。

 一、東京の温室効果ガス排出量について、長期ビジョンで二〇三〇年までに二〇〇〇年比で三〇%と削減目標を設定したが、EUが二〇三〇年までに一九九〇年比四〇%削減で合意したことに学び、意欲的な削減目標を立てること。

 一、中小規模事業所の省エネ対策への補助支援を拡充すること。

 一、ヒートアイランド防止のために、メトロス測定など対策を進めること。

 一、地球温暖化防止、再生可能エネルギー普及拡大のため、区市町村補助制度を拡充し、市民発電などへの支援を強めること。

 一、緑の保全、拡大の取り組みを抜本的に強化し、みどり率を引き上げるため、開発を抑制すること。

 一、市街地の緑地保全地域、里山保全地域の拡充に努め、公有化を促進すること。また、市町村の公有化事業を支援し充実させること。地下水の保全に努めること。

 一、都心における緑の復活、河川などの水面の拡大、護岸の緑化、風の道の確保などに努めること。

 一、肺がん、呼吸器系、循環器系の疾患に深く関与するPM二・五及び光化学オキシダントの実態把握に努め、環境基準達成の期限を定め、緻密で総合的な対策を進めること。

 一、自動車交通総量規制の目標を設定し、TDM、モーダルシフトなど総合対策を推進すること。

 一、中小業者が低公害、低燃費車、電気自動車などに買いかえられるよう、さらに長期、低金利の融資制度に拡充すること。

 一、さらなる大気環境改善のため、自動車排ガス測定局の的確な設置場所の再検討、増設を行うこと。

 一、環境アセスメントは、都市再生関連の特別扱いをやめ、特定地域における超高層建築物の対象を高さ百メートル以上、面積十ヘクタールに戻すことを含め、総合アセスメントとして見直すこと。また、計画段階アセスの対象を十ヘクタール以上とし、選択肢として、計画、事業を行わないことも含めること。対象とする事業主体を民間事業者にも拡大すること。環境アセスの評価項目にCO2排出量、PM二・五も加えること。事業段階アセスについて旧条例に準ずること。

 一、希少生物の実態を把握し、希少生物を保護し、生態系の育成環境を保全する対策を強化するために、専門職員を充実させること。

 一、土壌汚染対策を抜本的に強化すること。特に重大な汚染のある豊洲新市場予定地については、食の安全を守る立場から厳しく監視、指導を行うこと。

 一、地盤沈下や環境を守る立場から、温泉掘削については規制を抜本的に強化すること。

 一、増便する羽田空港、横田基地などの周辺航空機騒音や飛行ルートなどの実態把握を強化すること。

 一、環境科学研究所を直営に戻し、研究費を拡充し体制強化を図り、研究者の育成を図ること。

 一、循環型社会の形成に向け、拡大生産者責任を明確にした廃棄物減量対策を促進すること。また、家電リサイクル、中小業者のリサイクル、再資源化を支援すること。

 一、中小建設業者の取り扱う非飛散性アスベスト廃棄物の保管に関し、処理、処分に当たって都の支援を行うこと。

 次に、建設局について申し上げます。

 一、橋梁の耐震化を、緊急輸送道路等のみならず、それ以外の橋梁についても計画を明確にして進めること。

 一、東部低地帯河川の水門、堤防などの耐震強化を促進すること。

 一、環状道路整備の促進は、環境破壊をもたらし、巨額な都費を投入するものであり、都民参加で抜本的に見直すこと。特に外環本線及び外環ノ2の事業化を中止し、住民と話し合うこと。

 一、環状二号線及び臨海副都心のためのアクセス道路、広域幹線道路建設は凍結し、抜本的に再検討すること。

 一、浜離宮、延遼館の建設は凍結し、計画を見直すこと。

 一、玉川上水の史跡、豊かな環境保全のため、放射五号線の道路建設は見直すこと。

 一、土砂災害防止法に基づく警戒区域の調査と指定を促進し、ハード、ソフト両面の対策を進めること。

 一、雪害などに備え、関係業者との連携を強化し、道路除雪のための資機材の確保などを図ること。

 一、特定整備路線の強引な推進は行わず、関係住民の要望に基づいて、撤回を含め見直しをすること。

 一、自転車専用道路や自転車走行レーンの整備を推進すること。

 一、多摩地域の生活関連道路の整備、特に歩道整備やバリアフリー化、自転車専用道路など、環境に優しく安全に配慮した道路の普及を促進すること。

 一、交差点すいすいプラン第二次計画により、交通渋滞対策を強化すること。

 一、道路補修サイクルを抜本的に引き上げること。

 一、既存の都道及び区市の道路においても無電柱化を進めること。

 一、都市計画公園の整備目標を大幅に引き上げ、整備拡充について、公的責任で積極的に行うこと。公有地、工場跡地、未利用地などを活用して、緑を保全、回復させる公園、防災公園を整備促進すること。

 一、都市河川、内部河川の改修を初め、総合治水対策を強化し、ゲリラ豪雨被害を食いとめること。

 一、低価格入札について、東京都が発注する工事や物品の品質や安全性を確保し、下請業者や労働者へのしわ寄せが起きないよう、契約のあり方を抜本的に見直すこと。

 以上です。