◯和泉委員 私の方からは、初めにまず、子供の甲状腺の健康調査について伺います。
私は、都内でも放射線量の高い葛飾を地元にしております。この地域の父母の思いを受けて、一昨年、福祉保健局の事務事業質疑、昨年の第一回定例会の一般質問で、子供の甲状腺の健康調査を行う区市町村に都が補助を行ってほしい、そう繰り返し要望してきました。
その後、福島では、昨年十月末の時点で百九人が悪性ないし疑い例、八十四人が手術を行って甲状腺がんと診断されています。手術結果の詳細が報告をされている県民調査、第四回の甲状腺評価部会では、福島県立医大で手術を行って甲状腺がんと診断確定された五十四人のうち五十一人、九四%が手術をすべき症例でした。
これまで、この部会は今回スクリーニングによって見つかったがんは、潜在的で放っておいてもよいがんなんだとしてきましたけれども、手術結果の分析はそうではないことを示したといえると思います。
この結果について、都としてはどのように認識しているでしょうか。
◯中谷健康安全部長 お話の健康調査は、福島県が行っている県民健康調査のうち、甲状腺検査の先行検査として実施されたものであり、国が財政的な支援を行っております。
対象者は平成二十三年三月十一日時点で福島県在住で、おおむねゼロ歳から十八歳以下であった全県民であり、検査期間は原則平成二十三年十月から平成二十六年三月末まででございます。
その結果につきまして、福島県においては昨年二月の県議会で、甲状腺検査でこれまでに確認された甲状腺がんについては、県民健康調査検討委員会において総合的に判断して、事故時点において既に存在していたものであり、事故による影響とは考えにくいとの見解が示されている、県としては、今後とも検査を長期にわたり継続して実施し、子供たちの健康を将来にわたってしっかりと見守っていくとの考えを示しております。
また、国においても、昨年三月ホームページで、今までの知見からすれば福島県の子供の甲状腺がんは事故の被曝によるものとは考えにくいが、環境省としても、福島県県民健康調査を積極的に支援し、推移を注意深く見守っていくとの見解を示しております。
都としては、福島県や国において見解等が示されていると認識しております。
◯和泉委員 確かに、事故による被曝とは考えにくいというのが、福島県の県民調査の見解ですけれども、繰り返しますが、実際、ここの部会はスクリーニングによって見つかったがんは潜在的で、放っておいてもよいがんだと今までしてきたんです。けれども、手術を行った検査結果を分析してそうではないということが明らかになっているんです。
福島県や国が幾ら放射線の影響はないというふうに見解をとっているとしても、すぐれた医療技術が集積している東京都が、福島県、国がいっていることをうのみにして検査もしない、調査もしない、そういう立場でいいんでしょうか。
仮に、放射線の影響でなかったとしても、これほど深刻な状況が福島では子供たちの体に起こっているんです。これは間違いのない事実です。これが放射能の影響によるものなのかどうか、放射線量の測定と健康調査を広い地域で行って、データの蓄積の中から分析をする必要があるんじゃないでしょうか。
アメリカのマサチューセッツというところに本部を置く核戦争防止国際医師会議、通称IPPNWという組織がありますけれども、ここが三月三日にベルリンで記者会見をして、子供の健康調査が福島に限定されていることに対する懸念を示して、事故の影響の全体像把握には、隣県でも検査が必要だと指摘しています。
都は、このIPPNWの指摘をどのように受けとめますか。
◯中谷健康安全部長 都は現在、都内八カ所に設置しているモニタリングポストで二十四時間継続して空間放射線量を測定しております。
現在の測定値は、原発事故発生前の範囲内となっております。また、食品についても国の仕組みに基づき、生産地において農産物等の放射性物質の検査が行われております。さらに、都独自に小売店に流通する野菜類や子供が継続的に摂取する乳製品などを中心にモニタリング検査を実施しており、国内産食品から基準値を超えたものはございません。
こうしたことから、都として現在、特段の健康調査が必要とは考えておりません。
◯和泉委員 原発前の数値に戻っているという答弁がありましたけれども、葛飾では、いまだに区の基準を超えるポイントが残っていて、除染が継続されています。昨年の春に三校で除染、このとき最も高かった数値は、地上一センチで毎時四・五三マイクロシーベルトです。昨年の夏には七校で除染を行っています。最も高かった数値は、地上一センチメートルで毎時九・五七マイクロシーベルトです。原発事故前の数値に戻ったなどと安心できる状況ではないんです。
区民に放射線量測定器を貸し付けて、線量が高いと通報があれば区がはかって、基準を超えていれば除染を行う、食品についても検査を行う、こうして努力しているのは葛飾区だけではありません。お隣の千葉県でも、県立高校や県立公園を継続的に細かく測定をして、毎時〇・二三マイクロシーベルトを超えたところは除染を行っています。
また、自治体だけではなく、民間でも子供を放射能から守ろうと立ち上がった親たちが、関東子ども健康調査支援基金を立ち上げて、検査を受ける人に千円程度のカンパをお願いしながら、甲状腺エコー検査を行っています。多くの医師たちが全国から無報酬で、この検査に協力しています。
十八歳以下、千八百十八人の検査結果は、六人が精密検査が必要、一人が悪性疑いで直ちに二次検査の必要ありというものでした。子供たちの体に起こるかもしれない変化を見逃さない、これが重要なんじゃないんでしょうか。
都は、目をそらさずに事実を見ていただきたいと思います。丁寧に放射線量を測定して、子供たちの健康調査を行う区市町村に対しても、ぜひとも補助を行ってくれるよう強く求めておきます。