■近藤やよい区長の所信表明より抜粋
まず、原子力発電所の事故に伴う放射線の対応についてでございます。
足立区では他区に先駆け、平成11年より放射線量の定点測定を行ってまいりましたが、区民の皆様のご要望にお応えし、この6月より、測定地点を従来の1カ所から5カ所に拡大し、連日測定結果を公表してまいりました。更に今後、保育園、幼稚園、小・中学校、児童館、公園など752カ所で放射線量を測定し、区民の皆様に安心して生活していただけるよう、正確な情報を速やかに提供してまいります。
各会派の代表質問
■自由民主党 ほっち易隆議員
「プールの放射線測定・放射線量が指標値を上回った場合の対処」について
東日本大震災の発生から3カ月が経過しておりますが、依然として多くの方々が行方不明のままで、今も捜索が続く異例の事態となっております。
国民が震災前の生活に戻るためには、何よりも原発問題の終結が必要です。
政府と東京電力の情報に相違が多く、たくさんの国民が不安な毎日を過ごしております。
私のところにもメールやお手紙、たくさんの要望が来ておりますが、何よりも小さなお子さんを持つ親御さんからは放射線量について切実な要望が多数寄せられております。
国民が震災前の生活に戻るためにも、これから原発の問題に向けてしっかりと取り組んでいかなければいけない、このように思うところでございますが、先日行われた記者会見で、区長は、6月20日以降から区内保育園、幼稚園、小・中学校、児童館、公園など752カ所の放射線量を測定すると発表がありました。
今回の発表では、プール、そして、公園の砂場などの測定が含まれておりませんが、その理由と、今後、小・中学校のプールや区内屋外プール、また、公園の砂場などにおいても測定をすべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
また、放射線量が指標値を上回る場合は、必要な対処を行うとなっていますが、砂などの飛散防止のためにブルーシートを配布するなど、近隣住民への配慮も必要と考えます。今後、区の取り組みとして具体的にはどのような対応をするのか、見解をお伺いいたします。
川口弘危機管理室長の答弁
プールの放射線測定についてお答えいたします。
区で管理する屋外プールにつきましては、安全性の確認された金町浄水場の水に入替えております。
また、東京都で行っているちりや雨などの降下物の放射線量測定でも、大気中の放射性物質は不検出であることから、降雨による汚染のおそれはなく、区といたしましては、プールの使用は問題ないと考えております。
しかしながら、様々な情報が流れている中で、特にお子様を持つ区民の皆様より、プールの水質検査の実施について多数の要望をお受けしていることから、安全情報を提供するために、今後、毎日水換えするプールを除く、全ての屋外プールの水質検査を行ってまいります。
同じく、放射線量測定の要望が多い砂場の砂につきましても、検査を行ってまいります。
次に、放射線量が指標値を上回った場合の対処についてお答えいたします。
万一、放射線量が指標値を継続的に上回る場合は、表層土の飛散防止や交換など、必要な対処を行ってまいります。
■公明党 うすい浩一議員
「放射能汚染に対する区民の不安を解消するための取り組み」について
次に、放射能汚染に対する区民の不安を解消するための取り組みについて伺います。
福島第一原発事故による放射性物質の健康への影響を懸念する区民の声が高まっております。区は23区の中で唯一、平成11年より放射線量の測定を始め、6月1日からは測定箇所を5カ所に増やし、更に小・中学校など752カ所で測定を始めることは評価に値します。今後は、区独自の調査体制を強化するとともに、時宜を得た正確な情報の提供により、冷静な対応を求めていくことが必要です。そこで伺います。
1、子育て中の保護者は子どもの身近な場所での測定、公表を望んでおります。これから予定している保育園、幼稚園、小・中学校での測定に際しては、直接、手に触れて遊ぶ砂場や土壌でも測定する必要があると思いますが、区の見解を伺います。また、屋外プール並びに給食の食材への不安が広がっている実態がありますので、安全性を調査し、確認し、ホームページ上の公表はもとより、各学校や園便り等での現場における丁寧な安全周知や私立幼稚園協会を通じて、各園からの正確な情報提供のお願いを強く進めるべきと思いますが、区の見解を伺います。
2、区民の不安に素早く対応するためにワンストップの相談窓口を設置するなど、相談体制の充実を図るべきと思いますが、区の見解を伺います。
3、3月15日以降、福島第一原発から新たな放射性物質が毎日、当区まで飛散しているのかどうか、放射線量の正確な情報が区民に伝わり切れていないことが新たなる不安につながっております。ホームページ並び広報紙等での特集、また、専門家を招いてのセミナーや講演会など、より丁寧な広報周知が必要と思いますが、区の見解を伺います。
4、放射線量が高く測定された場合の対処法に関し、ガイドラインを策定すべきと思いますが、区の見解を伺います。
5、防災教育の一環として放射能の基礎知識を習得してもらう教育を行う必要があると思いますが、区の見解を伺います。
川口弘危機管理室長の答弁
次に、放射線対策への取り組みについてお答えいたします。
原発事故以前の測定値に比べると、放射線量の増加が認められますが、その増加量は、国際放射線防護委員会が勧告している平常時の放射線管理基準の年間1ミリシーベルトと比較しても、妊婦や乳児でも健康上心配するレベルではありません。
しかしながら、様々な情報が流れている中で、特にお子様を持つ区民の皆様より、砂場の砂やプールの水の放射線量測定について多数の要望をお受けしております。したがって、安全情報を提供するために、今後、保育園、幼稚園、小・中学校及び公園などの砂場の砂についての検査と、毎日水換えするプールを除く、全ての屋外プールの水質検査を実施し、その結果を迅速正確に発信してまいります。
また、学校給食で使用する食材につきましては、各学校において、文部科学省の指導により産地も含め、安全性の確認を厳格に実施しております。更に、産地によって調達できない食材がある場合には、メニュー変更などの工夫により、安全な食材を使用しております。
給食の安全性につきましては、4月当初に全ての保護者に対して、学校から通知いたしました。
また、私立幼稚園協会に対しても、正確な情報提供をお願いしております。
しかしながら、今後もなお一層、情報の開示等を進める考えであり、産地の公開等につきましても検討してまいります。
続いて、放射線に関する相談体制と情報提供についてお答えいたします。
これまでも、放射線に関するご相談につきましては、環境測定に関することは環境部で、健康に関することは各保健総合センターで、その他施設に係るご相談は各所管においてお答えしておりますが、一般的な相談はどこでも対応できるよう質疑応答集を配し、スムーズな対応を行ってまいります。
また、区民の皆様に正確な情報をお伝えすることが、放射線の不安解消につながると考えられることから、今後も、様々な機会を捉え、情報発信をしてまいります。
放射線の対処に関するガイドラインにつきましては、強く必要性を感じております。それには、専門的で高い知見を必要とすることから、国の責任において策定されるべきものであります。
しかし、いまだにその動きが伝わってまいりません。したがって、基準値等が示されていない中、困難ではありますが、区としての対処法をまとめてまいりたいと考えております。
泉崎直之教育指導室長の答弁
次に、放射能の基礎知識を習得する学習の実施についてお答えいたします。
平成24年度から全面実施となる中学校学習指導要領には、理科のエネルギー資源の学習において、新たに原子力発電や放射線についての学習が盛り込まれました。教育委員会といたしましては、全ての中学校において、学習指導要領に基づいた適切な授業が行われるよう指導をしてまいります。
なお、小学校については、今後研究してまいります。